「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」の怪しすぎる効果

yutacar-28290.jpg

「痛風」とは、“風が当たるだけで痛い”ほどの激痛があることから付けられた病名です。現在では成人男性の約20%が痛風予備軍だと言われているほどで、中高年層に多く、若年層でも増えています。

痛風の原因は尿酸値の高値です。血中に7.0mg/dl(ミリグラム パー デシリットル)以上で「高尿酸血症」となり、尿酸が異常に増え続けると、尿酸の結晶が関節などに蓄積して、炎症や激痛に至る頻度が増します。

痛みを起こす身体部分の多くは足の親指付け根部分で、全体の約70%を占めますが、足首や膝などの部分にも痛みを起こす場合があります。

多くは突然の激痛で、その時点で痛風が発覚することも多いのですが、中には軽度の関節痛程度で収まることもあり、おおむね7~10日程度で痛みは収まるので激痛に苦しんだ割にはそのまま治療を進めずに放っておくケースが少なくありません。

しかしながら、尿酸過多が発症の原因である限り、当然ながら痛みは再発したり、酷く腫れ上がったり、尿路結石・腎機能障害や高血圧・脂質異常症・糖尿病などへと至ってしまうリスクも否定できません。

さらに尿酸の影響で血管にダメージが加わり続けると動脈硬化へと進展し、心筋梗塞や脳梗塞へと死に直面する危険な病状へとつながりかねません。

痛風の発症は約98%が男性で、女性では2%に満たないほどです。それは女性ホルモンによって増えた尿酸は腎臓から排泄が促されるためであり、更年期以降で女性ホルモンが低下すると男女差は小さくなります。

また血清尿酸値が7.0mg/dlを超えてもすぐに痛風が発症する訳ではなく、数年間は高値が続かないと発症しません。そのため、女性では尿酸の蓄積が遅いことで一般的に痛風にはなりにくいと言えます。

さて尿酸・痛風と言えば「プリン体」の摂取を控えれば予防できると思われがちですが、実のところプリン体は食事から摂取される量はごくわずかで、そのほとんど80%以上は体内で合成されているのです。

プリン体は悪者扱いされていますが、細胞核の核酸(DNA・RNA)を構成している物質であり、細胞の分解と合成の過程で深く関わっています。

その事実を知らずして「プリン体ゼロ」の発泡酒などを選んでいる訳ですが、そもそもプリン体は動物性食品に多く含まれていてビールにはごくわずかしか含まれていません。

プリン体は体内で代謝されて尿酸に合成されるので、大量にプリン体を摂取すると尿酸値は高くなりやすく、ビールには旨味成分でもあるプリン体がアルコールの中では比較的多い上に1回の飲酒で多量に飲む人が多いことから「プリン体ゼロ」を選ぶことは悪くはありません。

しかし、ビールに限らず発泡酒でもアルコール飲料は全て腎臓からの尿酸を排泄させる機能を低下させるので、プリン体ゼロの発泡酒や他の酒類に代えるだけでは無駄なことなのです。

しかも飲酒のおつまみにレバーや干物などのプリン体を多く含む食品を食べていたら本末転倒になってしまうのです。

尿酸値を抑えるためにはプリン体を多く含む食品に注意することも必要ですが、尿酸値が上昇する原因にはもうひとつあります。

それは活性酸素の除去機能です。私たちは日々呼吸をしながら紫外線やストレスの中で生活するだけで活性酸素が増えて細胞は酸化されて行きますが、それを除去させる抗酸化作用のひとつが尿酸なのです。

多くの動物は体内でビタミンCが生成され抗酸化作用として働きますが、ヒトは体内でビタミンCを合成できないので、尿酸が強力な抗酸化物質として働く遺伝的経緯があるわけです。

そのため、活性酸素が増えない生活をすることが大切です、活性酸素は喫煙や飲酒及び過度な運動などでも発生するので、禁煙や適度な飲酒と運動を心掛けることでも尿酸値の上昇は抑制できます。

2008年から厚生労働省では「高齢者の医療の確保に関する法律」により特定健康診査と特定保健指導を開始しました。

日本の高齢化で医療費が上昇する中、高齢者の医療費を確保するために40歳以降で重大な病気に発展する前に対処や治療を進めることで医療費の削減に結びつけるのが目的です。

これはメタボリックシンドロームの早期発見と早期治療に着目した対策です。ウエスト周囲長で男性85cm・女性90cmを基準として脂質異常症、高血圧、高血糖の3項目のうち2項目以上の数値が高値であれば、いわゆる「メタボ」として特定保健指導の対象となります。

特定保健指導は、この3項目で各々の数値はそれほど高くなくても、2項目重なって数値が高めであればその時点で早期に改善させるのが狙いです。具体的には、保健師のカウンセリングや管理栄養士による食事指導、健康運動指導士などの運動指導資格者による運動指導を受けることになります。それでも改善しない場合には医師の治療(投薬など)へと進めます。

これは「肥満」を伴うメタボは生活習慣病の中でも重大な病状(動脈硬化)へと発展することを前提とした“肥満撲滅大作戦”とも言うべき、国を挙げての対策です。

こうした流れの中で2008年以降、肥満・ダイエットを訴求したサプリメントや食品・飲料が急激に増えています。

ダイエットの基本はカロリーの収支バランスを負にすること、つまり摂取カロリーを減らして消費カロリーを増やすこと。

この理論では高カロリーの脂質を減らすと共に運動でカロリー燃焼を促すといったダイエットを推進することになりますが、ヒトの身体は計算通りになるはずもなく、上手くいかないダイエットの繰り返しになってしまうのが常なのです。

2001年の「低インシュリンダイエット」によってGI値(グリセミックインデックス)が国内でも認知され始めたことで糖質による血糖値の上昇が太る原因との認識が広まり始めました。(なおGI値とは、食後血糖値の上昇比率で、ブドウ糖などの基準食を100%として対象食品がその何%に当たるのかを数値で表しています。数値が低いほど食後血糖値が上昇しにくく、高いほど上昇しやすい食品になります。)

その後、食後に血糖値が上昇して太るのならば「糖質を制限すれば良い」、「炭水化物を食べなければ良い」と極端な解釈から糖質制限食が流行したことでカロリーオフと合わせて糖質ゼロ飲料や糖質制限食品に拍車が掛かりました。

確かに糖質を制限すると血糖値が抑制されることでインシュリン(ホルモン)の追加分泌が減って痩せやすくなるのですが、極端な糖質制限では食欲が収まらず、イライラやストレスが募ってダイエットも続けられなくなってしまい、かえって過食にもなりかねません。

糖を栄養源としている脳の満腹を司る視床下部腹内側核は、糖を感知して食欲を抑制しています。糖の摂取不足で糖が満たされない限り、摂食を司る視床下部外側野のほうは1日中、食欲が止まらないわけです。それを自らの意志で食べないように我慢することなど到底不可能なことなのです。

たとえそれを我慢して痩せたところで、精神や代謝などへのしわよせが生じ、リバウンドするのは当然な結果なのです。

体のメカニズムを知らずに糖質制限や糖質ゼロ飲料を摂っていると「糖質ゼロ」の安心感も手伝って知らず知らずに日々の食べ過ぎ、摂り過ぎに気付かなくなってしまいます。

しかも糖質ゼロでも甘味があるのは、人工甘味料が使われているからなのです。人工甘味料の甘さは砂糖の数百倍以上なので砂糖の代用として使う程度なら極少量で何の問題も生じないと思いますが、日々常用してしまうことで体への悪影響も危惧されています。

夏は薄着や水着になる機会も多いのでダイエットを志す方々も多いはずです。

しかしその前にダイエットの基本を振り返ると、まず「摂取カロリーを減らして消費カロリーを増やす」、そして「食べた摂取カロリーを体脂肪に変えにくい体質にする」ことが一般的な認識です。

次に夏の食生活を振り返ってみましょう。夏は暑さのせいでどうしてもアッサリしたものを好む傾向にあります、それでジュースなどの水分やアイスクリームなどの冷たいスイーツも多くなってしまうので、カロリーは高くてもタンパク質・脂質・炭水化物(糖質)やビタミン・ミネラルのバランスが崩れて栄養価が低くなってしまいます。

春、秋、冬と比較した場合には明らかに夏の方が食事量は少ないのになぜか体重は変わらない、それどころか逆に太って(夏太り)しまう人も多いのではないでしょうか。その原因を探りながら夏のダイエットについて考えましょう。

どうしても“ダイエット”と言うとカロリー制限を思い浮かべますが食事量が同じでも痩せている人も太っている人もいるのが現状で、カロリーの収支バランスだけで「太ると痩せる」が決まる訳ではありません。

その主な原因は代謝の違いです。つまり何もしていなくても体温、心拍、血液循環、呼吸などの生きるために必要なエネルギーである基礎代謝や1日の活動に必要な生活活動代謝、及び食事後の消化吸収で使われるエネルギーである食事代謝(食事誘導性体熱産生:DIT)が季節や個人によって大きく異なるからです。

夏は気温が高いので体内でのエネルギー発散が少なくても体温が保持されるため、基礎代謝は春夏秋冬の中で最も低くなり、更に栄養不足や運動不足によっても低下してしまいます。

この基礎代謝は身体から発散される総エネルギーの70%を占めるので「太ると痩せる」にも大きく影響します。

また、食後には血液中に糖分が増えて、血糖値が上昇するとインシュリンと言うホルモンの働きで筋肉や肝臓に貯蓄エネルギー(グリコーゲン)として蓄えられますが、食べ過ぎや糖質過多で食後血糖値が急上昇すると筋肉や肝臓だけではグリコーゲンとして蓄え切れないので中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられてしまい、体脂肪が増えることになります。

このような食生活が習慣化すると肥満になりやすく、更に高血糖が続くとインシュリンの作用不足(インシュリン抵抗性)に陥り、糖尿病などの生活習慣病へと進行してしまうリスクが高まります。

もちろん間違った食生活の習慣化は夏場に限ったことではありませんが、多くは夏に代謝リズムが崩れやすくなるのです。

このように夏場は基礎代謝の低下と食べ過ぎ(特に甘いもの)が太りやすい原因を作ってしまうので基礎代謝を維持しながら甘いもの(糖質)を控えることだけでも太らない体質をつくります。

つまり、過剰な運動をしたり、食事を極端に減らすような無理なダイエットをするよりも朝・昼・夕の栄養価を考えた食事をしっかり食べて、大いに活動することで基礎代謝の低下を防ぎながら、おやつの糖分を減らして血糖値の上昇を防ぐことが夏場のダイエットには必要なのです。

夏は基礎代謝が低いので、脳内の温度センサーが働いて食欲を低下させながらエネルギーの吸収と発散を調整して体重を維持させる働きが備わっています。

そのように脳と身体は春夏秋冬で自動調整していますので、基礎代謝は異なっても通常は年間を通して概ね体重は維持されています。

夏場の無理なダイエットは更に代謝を低下させて、代謝が上昇し始める秋にその影響が及んでしまい、食欲が増える秋にも代謝が上昇せずに太りやすくなってしまいます。

秋は食欲の秋”と共に“スポーツの秋”でもあり、身体づくりにもダイエットにも絶好の季節になります。夏は体重維持に心掛けて、ダイエットは秋まで待ったほうが良さそうです。

POJIRAJI BLOG